ハツ(長谷川初実)は高校生だが、なにかにつけ仲間とつるむ雰囲気に馴染めずクラスでも浮いている。ひょんなきっかけから同じような存在のクラスメートにな川(蜷川智)に声をかけるが、その際、ハツが会ったことがあるモデル(オリチャン)がにな川の憧れの存在であることを知る。オリチャンを共通の媒介としてぎこちない関係を構築していくハツとにな川。ハツが嫌悪感さえ抱いていたにな川に対しての心境はどう変化していくのだろうか。(2003年作品)
集団への帰属意識に対する猜疑とか反抗という若者にとって普遍的なテーマを今日的な筆致で描き出した作品です。会話文を多めに進行する物語は、主人公ハツの心理が丹念に描かれていて多くの女性の共感を呼びそうですが、一方でにな川の描写は(意図的なのかもしれませんが)リアリティが不足していてやや希薄な感じがします。そのあたりが経験ベースでしか書けない作者の力量なのか意図的なものなのかは微妙ですが、後者だとするならその思惑はあまり上手く機能していないような気がします。そういう点で、あと何作か読んでみないと正当な評価はできそうもありません。
ただし、「芥川賞受賞作」という過剰な期待を持たずに読めば、十分面白い作品だとは思います。(2004年1月17日エントリ)

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